定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.83魚を焼くと......

徳島支部 調査サービス課 片寄 暢浩

連日の猛暑が続く8月のある日、4年に一度の電気設備の安全点検のため、市街地から少し海辺寄りの住宅街のご家庭を訪問した時のことです。

玄関先から声を掛けると、30代後半くらいの奥様がご在宅でした。電気の安全点検で訪問した旨を説明し、何か気になる所はありませんかとお尋ねすると「家の中で見てほしいところがある」と相談を受けました。

 

まず、電力メーター付近で漏電調査を行ったあと、屋外を一周回って目視点検を行い、漏電および屋外設備に異常がないことを確認しました。その結果をお客さまへお伝えし、先ほどの相談内容を詳しく伺ってみると「IHクッキングヒーターのグリルで魚を焼くと、メインブレーカー(漏電ブレーカー)がOFFになり家全体が停電する」とのことでした。そこで、IH専用回路のみ停電して絶縁抵抗測定をしましたが問題ありません。次にグリルを使用してもらい、その回路の漏れ電流を測定すると、基準値を大きく上回る値(16mA)が出ました。その後、少し時間が経って、メインブレーカーの漏電を示す黄色いボタンが飛び出しOFFになりました。

 

以上の調査結果から、IHクッキングヒーターのグリルが不良で、グリルを使用した時のみ漏電していることがわかりました。お客さまにブレーカーが落ちる原因を説明し、グリルの修理もしくは取り替えを依頼しました。お客さまは「10年以上使用しているので取り替えを検討する」とのことでした。今まで、ブレーカーが落ちる原因がわからず困っていたところ、今回の定期調査のタイミングで原因究明ができて、とても感謝していただけました。

 

今回のケースで、もし漏電ブレーカーが取り付けられていない場合は、漏電している機器を使用しても配線用のブレーカーは落ちず、感電してしまう可能性がありました。電気は目に見えないため、漏れていてもわかりません。漏電したら自動で電気を遮断する、漏電ブレーカーを設置することの重要性を実感させられる調査となりました。