電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例16対話の大切さ

高知支部 安芸事業所 横井 健太

設備などの状況

7月のある晴れた日のことです。山間の老人福祉施設から「1階の漏電ブレーカーが動作して停電した」との連絡があり、出動しました。

発見時の状況と対応

現場に到着し、連絡していただいた男性職員の方に話を聞くと、既にブレーカーは投入して電気は全て点いており、今は問題なく使用できているとのことでした。漏電箇所を調査するため、一度、動作した漏電ブレーカーを切って、停電により絶縁抵抗測定を実施しましたが、原因と思われる不良回路は見つかりませんでした。
しかし、今日だけで3回程ブレーカーが切れたようで、他の事務所の方にも何か変わった事はなかったかを聞き取りましたが、特に何もない様子でした。何とか原因を突き止めるため漏電探査器を設置し、再度漏電した時に連絡していただくことにしました。

数日後、漏電ブレーカーが動作したとの連絡を受け再度現場に訪問しましたが、到着した時にはブレーカーが投入されて復帰していました。今回も停電して絶縁抵抗測定をしましたが、前回と同じく場所の特定はできませんでした。また、漏電探査器には動作表示が出ていましたが、回路の特定までに至らず「これは時間をかけて絞り込むしかないかな……」と考えていました。そして、男性職員へ状況を説明し、ブレーカーが切れた時の状況を聞き取りしていたところ、ほかの女性職員が「私の足元の床にあるフロアコンセントに足が当たった瞬間に電気が消えた気がする」と教えてくださいました。
足元のコンセントを確認したところ、見た目は特に異常なかったのですが、床に固定できていなかったので裏面が気になりました。フロアコンセントを外して裏面を見てみると、3本ある配線のアース線がコンセントから外れ、金属部が充電部に接触するかしないかギリギリの位置にありました。
漏電の原因は、普段はアース線がギリギリ充電部に接触しない位置にありましたが、ちょっとした振動で充電部に接触することにより瞬間的に漏電していたことでした。
そのコンセントは無くても支障がないとお聞きし、配線を切り離して絶縁処理を施し処置しました。

今後の取り組み

今回、対話による聞き取りをせずに漏電調査を続けていれば調査に長時間を費やし、お客さまにご迷惑をお掛けしたと思います。改めて対話の重要性を実感しました。
今後も、お客さまとの対話を大切にしながら業務に取り組んでまいります。