電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例14屋根の修繕中に…

愛媛支部 保安サービス2課 門田 孝政

設備などの状況

梅雨入り前のある晴れた日の午後、金型等を製作している比較的規模の大きな工場へ毎月の点検にお伺いした時のことです。

発見時の状況と対応

連絡責任者の方に、先月の点検以降、電気設備の異常や何か変わったことがなかったかお尋ねすると「電気設備に異常はありませんが、工場内の熱対策として屋根を二重構造にしています」とおっしゃられました。
いつものように、まず主電気室の点検をしていた時、普段は漏れ電流値が10mA程度の電灯回路の値が、この日は1.5Aと明らかに漏電を示す数値でした。原因は、主電気室から出た分電盤への回路ではないかと推測し、まず、分電盤で漏れ電流を測定しました。しかし、分電盤から機器までは漏電しておらず、電気室から分電盤までの配線のどこかで漏電していると判断しました。

その時、来訪時に屋根を修繕しているとお聞きしたことを思い出し、それが原因ではないかと推測し、お客さまにその旨をお伝えしました。屋根を二重に修繕された箇所の配線を確認するため、時には狭い空間をほふく前進しながら漏れ電流測定をしました。すると、やはり、屋根の工事で取り付けた金具が配管を突き抜け、中の電線を傷つけたことが原因で、その金具から鉄骨に漏電していました。破損した部分はわずかでしたが、テーピングで絶縁処理を施し電線を移動させて漏電は解消しました。電線をリップ溝鋼管に収めていたことや屋根を止める金具をリップ溝鋼管で施工していたことによる二つの要因が重なって起きた事象でありました。

屋根の工事で取り付けた金具

テーピングで絶縁処理を施したところ

今後の取り組み

今後、建物修繕等をする場合においても、当協会に連絡していただくよう依頼しました。電気設備だけでなく建物修繕等の問診も重要だと再認識しましたので、今後も対話活動を大切にして業務に取り組んでまいりたいと思います。