電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう85太陽電池モジュールおよび架台の破損事故

電気事故報告は、電気に係る保安の確保のために欠くことができないものであり、その内容の分析に基づいて、類似の事故の再発防止策を講じるとともに、電気工作物の安全性の確保、信頼性の向上等のための施策の検討を行っています。
今回は、今年度発生した台風による土砂崩れに伴う「電気工作物に係る物損等事故」事例を紹介します。
「電気工作物に係る物損等事故」とは、電気工作物の破損または電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、他の物件に損傷を与え、またはその機能の全部または一部を損なわせた事故のことです。
電気工作物の破損や電気工作物の操作員のヒューマンエラーにより、第三者の物件に損傷や機能の喪失を与えた事故は、法目的である「公共の安全の確保」の観点から重要なものであり、電気工作物の保守管理運営の面で十分検討し対策を立てる必要があるため、報告を求めるものです。

中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

物損等事故

使用電圧 6,600V
設置場所 太陽電池発電所
事故点の電圧
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 8月
供給支障電力・時間
事故発生の電気工作物 太陽電池モジュール、架台
事故原因 自然現象(土砂崩れ)
経験年数・年齢
天候

事故概要

7月の大雨により、土砂崩れが発生し、太陽電池発電所の敷地の一部が崩れ、太陽電池モジュールと架台が破損したため、復旧に向けて対応をしていた。
8月になり、台風が襲来することが予想されていたため、法面はブルーシートで覆い、道路に土砂が流出しないよう土嚢を積み増しするなど対策をしていたが、大雨により太陽電池発電所の敷地内の土砂崩れが進行、法面が大きく崩落し、土砂が土嚢を超えて流出したことにより道路を塞いだ。なお、太陽電池モジュールおよび架台は、発電所敷地外へ流出しなかった。

事故原因

水路が詰まっており、排水がスムーズに行われなかったことと、前回の土砂崩れの復旧に時間を要した事が原因。

再発防止対策

  • 水路の掃除および法面へのコンクリート吹き付けによる土砂流出防止。現在の排水路について再度検討し、発電所内の排水路工事を行う予定。

注意喚起

太陽電池パネル(モジュール)や支持物、柵やへいなどの電気工作物の破損等を伴う土砂崩れや土砂流出が発生し、道路等の閉塞、人や車両の通行の阻害等、第三者の物件に対して本来の機能の一部を損なわせた場合、他の物件への損傷事故に該当し事故報告の対象となります。
また、電気工作物の破損等を伴わない土砂流出の場合であっても、土砂流出の発生の主たる原因が当該支持物を施設したことによる影響と判断されるものについては、他の物件への損傷事故に該当し事故報告の対象となります。
これは、電気事業法における技術基準において、太陽電池パネル(モジュール)の支持物を土地に自立して施設する場合は、施設による土砂の流出または崩落等が発生し、公衆安全に影響を与えることが無いよう施設することが規定されているためです。
同様の事故の再発を防止するためには、自然災害が発生する前に太陽電池発電設備の入念な点検を実施し、台風や豪雨等への備えに万全を期すことが重要です。

事故のあった太陽電池発電設備

太陽電池発電設備設置者の皆さまへ

再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定価格買取制度の施行以降、太陽電池発電設備や風力発電設備が急激に増加し、近年の豪雨や台風等においては、太陽光パネル等の崩落や飛散、雷撃を受けた風車のブレードの折損・発電所構外への飛散、風車の焼失などといった事故が発生しております。
50kW以上の太陽電池発電所を設置されている方だけでなく、2021年4月1日からは、10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備、20kW未満の風力発電設備についても下記の4項目の事故が発生した場合に報告する必要があります。