電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう78自然現象(風雨)による太陽電池パネルや架台の破損事故

中国四国産業保安監督部四国支部管内における電気関係報告規則第3条に基づく事故については、2020年度において57件発生(2021年1月1日現在)しております。うち主要電気工作物破損事故は53件発生しています。
主要電気工作物破損事故とは電気設備を構成する機器の中でも重要な役目を持つとして法令で定められた機器が破損する事故であり、設備の運用が長期にわたり停止するなどの大きな影響を及ぼす重大な事故です。また、破損箇所、破損内容によっては設備外の生命や財産に被害が及ぶ事故に発展する恐れもあります。
四国支部管内における過去5年間(2015〜2019年度)に発生した主要電気工作物破損事故は、155件で、そのうち太陽電池パネルや架台の破損事故は5件発生しています。
今回は、太陽電池パネルや架台の破損事故事例を紹介します。

中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

太陽電池パネルや架台の破損事故

使用電圧 -
設置場所 太陽電池発電所
事故点の電圧 -
主任技術者の選任形態 自社選任
事故発生月 1月
供給支障電力・時間 -
事故発生の電気工作物 パワコン、モジュール、架台、杭
事故原因 自然現象(風雨)
経験年数・年齢
天候 -

事故概要

 風により太陽電池モジュールが事業場内へ飛散。飛散したモジュールが他のモジュールや架台にあたり損傷した。
一部の架台基礎が杭ごと抜けた。
また風雨もしくはモジュールの破損等の影響によりパワーコンディショナーも故障停止。

事故原因

風雨によるもの(風速36.6m/s)

○事故のあったモジュール、架台、杭

パネルの破損状況

架台からモジュールが外れている状況

架台基礎が抜けた跡

再発防止対策

  • 強風箇所からの移設、ターンバックルによる補強等。
  • 杭が抜けた箇所については杭の打設が困難なので移設するか、コンクリート基礎に変更。

ターンバックルによる補強

コンクリート基礎を打設し、パネルを直結

自家用電気工作物設置者の皆さまへ

太陽電池発電所は設置検討段階での地形などの確認が重要です。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)では太陽電池発電所の設計ガイドラインを公表していますが、この中で、地形が入り組んだいわゆる小地形による風速の割り増し係数の考え方のほか、地形の選択の要点なども紹介しています。
◎「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン」(NEDO)
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP2_100060.html#guideline

太陽電池発電所は設置後のメンテナンスも重要です。

架台のゆるみが発生していないかどうかについてボルトを定期的に確認する必要があります。太陽光発電協会では太陽光発電システム保守点検ガイドラインを公表していますが、この中で「特に架台に動きがあったことが疑われる場合、ボルトの締まり具合を確認するためにトルクを確認することが望ましい」といった、具体的な点検項目を紹介しています。
メンテナンスガイドライン 太陽光発電協会のガイドライン
◎「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(太陽光発電協会)
http://www.jpea.gr.jp/document/handout/index.html

今回の事例では幸いなことに敷地外への部材の飛散はありませんでしたが、敷地外への飛散があれば、発電設備の停止にとどまらず周囲の人や建物に多大な損害を与えてしまいます。主任技術者におかれましては、確実な日々の点検の実施と、周囲の環境保全に努めていただきますようお願いします。

2020年度四国管内電気事故発生件数

(2021年1月1日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 0
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 1
他物損傷・機能被害事故 0
主要電気工作物破損事故
(うち太陽電池発電所の逆変換装置によるもの)
53
(40)
発電支障事故 0
供給支障事故 0
波及事故 3
ダム異常放流事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 0
57