電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう77保守不備(保守不完全)による波及事故

中国四国産業保安監督部四国支部管内における電気関係報告規則第3条に基づく事故については、2020年11月1日現在、46件発生しており、うち波及事故は2件発生しています。
波及事故とは高圧受電設備などで起きた事故が原因で、電力会社の配電線に接続されている住宅、病院、工場および交通信号システムなどの広範囲に停電が広がる事故をいいます。波及事故は他者に対し様々な被害を与える社会的に大きな影響を及ぼす重大な事故です。
四国支部管内における過去5年間(2015〜2019年度)に発生した波及事故件数は、32件で、そのうち保守不備(保守不完全)を原因とするものが5件発生しています。
今回は、保守不備(保守不完全)による波及事故事例を紹介します。

中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

波及事故

使用電圧 6,600V
設置場所 需要設備
事故点の電圧 6,600V
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 7月
供給支障電力・時間 431kW・1時間56分
事故発生の電気工作物 高圧負荷開閉器(LBS)
事故原因 保守不備(保守不完全)
経験年数・年齢
天候 晴れ

事故概要

高圧負荷開閉器(LBS)の電源側充電部に、かずら(つる植物)が接触し短絡した。電力会社配電線の保護装置が動作し波及事故となった。かずらを撤去のうえ、絶縁抵抗測定した結果、異常がないことを確認し、電力会社からの送電を完了した。

事故原因

かずらがキュービクル内の隙間から侵入し、高圧負荷開閉器(LBS)一次側高圧充電部に接触し短絡した。

再発防止対策

  • 高圧負荷開閉器(LBS)の取り替え。
  • キュービクル内および周辺の樹木等を伐採。

○事故のあった高圧負荷開閉器(LBS)

(短絡が発生した箇所)

(電源側充電部付近の状態)

自家用電気工作物設置者の皆さまへ

自家用設備に電気事故が発生すると、生産活動に大きな痛手を被るばかりでなく、万一、波及事故を起こすと近隣の需要家に停電などにより多大な損害を与えてしまいます。

主任技術者におかれましては、確実な日々の点検の実施と、各機器の更新推奨時期等を踏まえた計画的な設備更新を行うことで、保守不備による事故を未然に防いでいただきますようお願いします。適切な保守点検とともに必要に応じて機器単位または全体的な更新を行い、波及事故を防ぎましょう。

2020年度四国管内電気事故発生件数

(2020年11月1日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 0
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 0
他物損傷・機能被害事故 0
主要電気工作物破損事故
(うち太陽電池発電所の逆変換装置によるもの)
44
(37)
発電支障事故 0
供給支障事故 0
波及事故 2
ダム異常放流事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 0
46