電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう76保守不備(保守不完全)による波及事故

中国四国産業保安監督部四国支部管内における電気関係報告規則第3条に基づく事故については、2020年8月1日現在、31件発生しており、うち波及事故は2件発生しています。
波及事故とは高圧受電設備などで起きた事故が原因で、電力会社の配電線に接続されている住宅、病院、工場および交通信号システムなどの広範囲に停電が広がる事故をいいます。波及事故は他者に対し様々な被害を与える社会的に大きな影響を及ぼす重大な事故です。
四国支部管内における過去5年間(2015〜2019年度)に発生した波及事故件数は、32件で、そのうち保守不備(保守不完全)を原因とするものが5件発生しています。
今回は、保守不備(保守不完全)による波及事故事例を紹介します。

中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

感電以外の死傷事故

使用電圧 6,600V
設置場所 需要設備
事故点の電圧 6,600V
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 3月
供給支障電力・時間 1,532kW・50分
事故発生の電気工作物 高圧区分開閉器
事故原因 保守不備(保守不完全)
経験年数・年齢
天候 晴れ

事故概要

キュービクル内の真空遮断器の取替工事が終了し、電気管理技術者が帰ろうとしたところ、高圧区分開閉器から破裂音がして発煙があり、数分後、炎上、短絡・停電し波及事故となった。

高圧区分開閉器は、事故発生7カ月前の動作試験も良好であり、事故直前の絶縁抵抗値も問題なく、外観上のさび等もみられなかったため、取り替え等は検討していなかった。

事故原因

高圧区分開閉器は絶縁ガス入りの密閉式(2008年製造G付PAS7.2kV300A)であったが、破裂箇所のパッキン不良のため、何らかの原因により内部に水分が侵入し、短絡事故に至ったものと推定される。

再発防止対策

  • 新品の高圧区分開閉器(G付PAS)に取り替え。
  • 計画的な機器の取り替えに努める。

○事故のあった高圧区分開閉器

〈自家用電気工作物設置者の皆さまへ〉

自家用設備に電気事故が発生すると、生産活動に大きな痛手を被るばかりでなく、万一、波及事故を起こすと近隣の需要家に停電などにより多大な損害を与えてしまいます。

主任技術者におかれましては、確実な日々の点検の実施と、各機器の更新推奨時期等を踏まえた計画的な設備更新を行うことで、保守不備による事故を未然に防いでいただきますようお願いします。適切な保守点検と共に必要に応じて機器単位または全体的な更新を行い、波及事故を防ぎましょう。

2020年度四国管内電気事故発生件数

(2020年10月1日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 0
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 0
他物損傷・機能被害事故 0
主要電気工作物破損事故
(うち太陽電池発電所の逆変換装置によるもの)
38
(32)
発電支障事故 0
供給支障事故 0
波及事故 2
ダム異常放流事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 0
40