電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう75電気工作物の操作による感電以外の死傷事故

2019年度の中国四国産業保安監督部四国支部管内における電気関係報告規則第3条に基づく電気事故は、2020年1月1日現在、36件発生しており、うち感電以外の死傷事故は2件発生しています。
今回は、電気工作物の操作により負傷した事故事例を紹介します。

中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

感電以外の死傷事故

使用電圧 66,000V
設置場所 需要設備
事故点の電圧 440V
主任技術者の選任形態 選任
事故発生月 11月
供給支障電力・時間 なし・0分
事故発生の電気工作物 ジブクレーン共用保護盤
事故原因 被害者による電気工作物の操作
経験年数・年齢 10年・30歳
天候 晴れ

事故概要

ジブクレーンの運転手から、被害者にジブクレーンの引込が動かなくなったので見てほしいとの連絡があり、被害者が調査を行った結果、ジブクレーン共用保護盤の強制潤滑装置の電磁接触器の故障と考え、取替作業に取りかかった。
電磁接触器の取替作業に当たり、同じ回路の電磁開閉器を取り替えようと回路のスイッチを切り、当該開閉器の1次側電線をドライバーで取り外したところ、外した電線が他の相の端子に当たり、相間短絡によりアークが発生し、顔面と左手甲を熱傷した。
電源と思って切った電磁開閉器のスイッチは別の電源回路のものであったため、電磁接触器の回路(440V)は活線状態のままで短絡してしまい、アークが発生したが、回路電源側の低圧遮断器の動作により、直ちに電源遮断され、波及事故等は発生しなかった。

事故原因

対象機器とは別の回路のスイッチを間違えて切ってしまい、活線状態のままで取替作業を行ってしまったことに加え、被害者自身、気が急いでいたため、検電器は持っていたものの、作業前の検電を忘れたままで作業を進めてしまい、相間短絡によるアークが発生したことにより、負傷事故となった。

再発防止対策

電磁開閉器の交換手順書に以下の項目を追記し、教育を実施する。

  • 停電作業を行う時は、室内のブレーカーを全て切る。
  • ブレーカー電源の遮断確認を2名で行う。
  • 検電器、テスターを使用し、検電を電源遮断の都度、実施する。

○事故のあった共用保護盤、電磁開閉器、電磁接触器

〈自家用電気工作物設置者の皆さまへ〉

今回の事故は、作業員が間違って別の回路のスイッチを切ってしまい、活線状態のまま、検電も行わず、配線作業を進めてしまったため、負傷事故に至った事象です。
作業に当たり、事前に作業手順書や回路図等で無充電状態の範囲を確認するとともに、電気機器の金属体や電路に触れる時は、その都度、必ず検電を、可能であれば複数で作業を行う等、事故防止に努めてください。

2019年度四国管内電気事故発生件数

(2020年1月1日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 0
感電以外の死傷事故 2
電気火災事故 0
他物損傷・機能被害事故 0
主要電気工作物破損事故 30
発電支障事故 1
供給支障事故 0
波及事故 3
ダム異常放流事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 0
36