電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう67保守不備(保守不完全)による主要電気工作物破損事故

平成29年度の四国支部管轄内における太陽電池発電所の主要電気工作物破損事故については、平成30年1月31日現在、19件発生しています。
四国支部管内における過去5年間(平成24〜28年度)に発生した太陽光発電の主要電気工作物破損事故は、合計12件発生しており、主な原因は、自然現象(4件)となっており、ついで原因不明(4件)、設備不備(3件)、他物接触(1件)となっています。
今回は、保守不備(保守不完全)による主要電気工作物破損事故例を紹介します。
※平成28年度から電気関係報告規則改正により太陽電池発電所・風力発電所の事故報告対象範囲が広くなったため件数が増えている。
※1件の事故が2以上の原因による場合があるため、原因件数の累計と事故件数の累計は異なります。

資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

主要電気工作物破損事故

使用電圧 6.6kV
設置場所 太陽電池発電所
事故点の電圧 -
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 7月
供給支障電力・時間 -
事故発生の電気工作物 パワーコンディショナー
(100kVA) 2013年製
事故原因 保守不備 (保守不完全)
経験年数・年齢 -
天候

事故概要

事故発生前の平成29年5月に月次点検および年次点検を実施し、絶縁抵抗測定、接地抵抗測定、保護継電器動作特性試験等を実施し、結果は良好であった。
事故当日、設置者が太陽電池発電所の発電が停止していることを遠隔モニタにて確認した。連絡を受けた主任技術者が現場確認を実施したところ、パワーコンディショナーが「インバーター温度異常(重故障)」にて停止していることを確認した。その後のメーカー等による詳細調査の結果、キュービクル下部の配線貫通部開口部より進入した湿気等の影響によりパワーコンディショナーインバーターユニット冷却ファンが故障、冷却不十分によりパワーコンディショナー内部の温度が上昇、インバーターユニットのヒューズ断により運転を停止したものと推定した。
この事故で、原因調査および機器の交換作業に要した約1カ月間、発電を停止した。

事故原因

電気主任技術者およびメーカー等による調査の結果、インバーターユニット内のヒューズの溶断、IBGTの損傷および冷却ファンの故障を確認した。冷却ファンユニットの電源コネクタ部に変色を確認したことから、単体の絶縁抵抗測定を測定すると基準以下であった。また、キュービクル下部の配線口が大きく開口しており、キュービクル内およびパワーコンディショナーに発錆を確認した。
調査結果から、キュービクル下部の開口部より進入した湿気等の影響により冷却ファンが故障し冷却が不十分となりパワーコンディショナー内部の温度が上昇、また、インバーターユニットのヒューズ断により運転を停止したものと推定した。

再発防止対策

  • インバーターユニットおよび冷却ファンユニットの交換を実施した。
  • キュービクル下部の開口部の湿度、埃等の吸い上げ防止対策を検討する。

平成29年度四国管内電気事故発生件数

(平成30年1月31日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 1
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 0
他物損傷・機能被害事故 2
主要電気工作物破損事故 30
発電支障事故 0
供給支障事故 0
波及事故 4
ダム異常放流事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 1
38