電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう64保守不備(自然劣化)による波及事故

波及事故については、3月2日現在、平成28年度内で7件発生しています。 四国支部管内における過去5年間(平成23〜27年度)に発生した波及事故(計56件)の主な原因は、自然現象(雷)(23件)で、ついで、保守不備(自然劣化)(15件)などとなっています。(※)
今回は、保守不備(自然劣化)による波及事故例を紹介します。
※1件の事故が2以上の原因による場合があるため、原因件数の累計と事故件数の累計は異なります。

資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

波及事故

使用電圧 6.6kV
設置場所 介護老人保健施設
事故点の電圧 6.6kV
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 12月
供給支障電力・時間 1,385kW
129分
事故発生の電気工作物 高圧区分開閉器
事故原因 保守不備 (自然劣化)
経験年数・年齢 -
天候

事故概要

変電所の送電線が、DG、OCの動作によりトリップし、波及事故となった。当事業場の高圧区分開閉器に異常な膨らみがみられたため、電力会社は、当事業場を配電線から切り離した後、当事業場を除く周辺全ての事業場の送電を完了した。
同日、当事業場は、高圧区分開閉器を新品に取り替え、外部委託者による竣工検査を実施し、良好であったため受電した。

事故原因

高圧区分開閉器内部の発錆が確認されることから、経年劣化により、いずれかの部分で機密不良が発生し、本来絶縁のために充填されていたSF6ガスが漏れ、大気との呼吸作用により、水分の浸入に至ったものと考えられる。
その水分が、内部で高湿度および結露状態となったことにより、絶縁リンク(C相)および避雷器(C相)のいずれかで、絶縁が急激に低下し、部分放電を引き起こし、地絡から瞬時に短絡事故へ至ったと推察される。
地絡とほぼ同時に短絡事故が発生したことで、開閉器内部の各保護検出機能等が著しく損傷したことにより、波及事故に至った。

再発防止対策

  • 耐用年数を考慮した高圧機器の取り替えの実施。

平成28年度四国管内電気事故発生件数

(平成29年3月31日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 2
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 1
他物損傷・機能被害事故 0
主要電気工作物破損事故 19
発電支障事故 3
供給支障事故 0
波及事故 7
ダム異常放流事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 1
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