電気事故に学ぼう63作業方法不良・被害者の過失による作業者の感電死傷事故
平成28年度の四国支部管内における感電死傷事故については、1月31日現在、2件発生しています。
四国支部管内における過去5年間(平成23〜27年度)に発生した感電死傷事故(計14件)の主な原因は、被害者の過失(6件)で、ついで、作業方法不良(5件)、その次に、作業準備不良(4件)、電気工作物不良(4件)によるものが多くなっています。(※)
今回は、作業方法不良・被害者の過失による感電死傷事故事例を紹介します。
※1件の事故が2以上の原因による場合があるため、原因件数の累計と事故件数の累計は異なります。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
感電死傷事故
使用電圧 | 6.6kV |
---|---|
設置場所 | 需要設備 |
事故点の電圧 | 6.6kV |
主任技術者の選任形態 | 外部委託 |
事故発生月 | 9月 |
供給支障電力・時間 | - |
事故発生の電気工作物 | 高圧交流負荷開閉器 (LBS) |
事故原因 | 作業方法不良および被害者の過失 |
経験年数・年齢 | - |
天候 | 曇 |
事故概要
事業所では、事故発生当日に、高圧受電設備の停電年次点検を実施しようとしていた。
当日事業場は操業停止状態であったが、現場分電盤は充電されていた。
作業を2名体制で実施する予定であったが、被災者は、担当主任技術者の開始指示を待たず、停電前で活線状態であったキュービクルの、前面の内側のごみをかがんで集めようとした際、誤って帽子がLBS下部の高圧充電部に接触し、感電した。
なお、被災者は帽子のみの着用で、ヘルメットを着用していなかった。
事故発生後、負傷者をキュービクル外に移動させ消防に連絡。救急車を手配して、病院に搬送した。
電撃は頭部から右足に抜けており、右足膝に火傷を負っていたため、治療および検査のため入院となった。
事故原因
停電前に、安全確認のないまま、目の前にあったキュービクル前面の内側のごみを、屈んで集めようとした。
再発防止対策
- 作業実施前には十分なミーティングを行い、主任技術者の安全確認実施の下、全停電となってから作業を開始する。
- キュービクル内外に係わらず必ずヘルメットを着用し、検電器によるチェックを行い、活線での作業は禁止する。
作業計画は?
現場の状況に応じた作業手順を安全確認も含め、適切に計画・作成しましょう。活線作業を行うことのないよう電気主任技術者と事前にしっかり打ち合わせしましょう。
作業手順を確実に守り、ヒューマンエラー(危険予知不足、注意力低下等)をなくし、事故ゼロをめざしましょう
絶縁用保護具、絶縁用防具の分類
分類 | 作業具名 | 用途 |
---|---|---|
絶縁用保護具 | 電気用ゴム手袋(低圧用と高圧用)、電気用保護帽、絶縁衣および電気用ゴム長靴等 | 電気設備の点検や修理の時、露出した充電部に近づいた時に起こる感電を防止するために、人体が着用するものを指す |
絶縁用防具 | 絶縁シート、ゴム絶縁管、碍子(がいし)カバー、絶縁カバー等 | 活線作業や活線近接作業の時、作業環境近くにある接触のおそれがある充電部等に装着(覆い被す)するものを指す |
※6ヶ月に1度の耐圧試験が必要です
平成28年度四国管内電気事故発生件数
(平成29年1月31日現在)
事故種別 | 事故発生件数 |
---|---|
感電死傷事故 | 2 |
感電以外の死傷事故 | 0 |
電気火災事故 | 0 |
他物損傷・機能被害事故 | 0 |
主要電気工作物破損事故 | 12 |
発電支障事故 | 1 |
供給支障事故 | 0 |
波及事故 | 7 |
ダム異常放流事故 | 0 |
社会的に影響を及ぼした事故 | 1 |
計 | 23 |