電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう61電気工作物不良・被害者の過失による公衆の感電死傷事故

平成28年度の四国支部管内における感電死傷事故については、8月31日現在、1件発生しています。
四国支部管内における過去5年間(平成23〜27年度)に発生した感電死傷事故(計14件)の主な原因は、被害者の過失(6件)で、ついで、作業方法不良(5件)、その次に、作業準備不良(4件)、電気工作物不良(4件)によるものが多くなっています。(※)
今回は、電気工作物不良・被害者の過失による感電死傷事故事例を紹介します。
※1件の事故が2以上の原因による場合があるため、原因件数の累計と事故件数の累計は異なります。

資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

感電死傷事故

使用電圧 6.6kV
設置場所 需要設備
事故点の電圧 0.2kV (75A)
主任技術者の選任形態 選任
事故発生月 8月
供給支障電力・時間 -
事故発生の電気工作物 低圧動力盤ブレーカー
事故原因 電気工作物不良および被害者の過失
経験年数・年齢 -・68歳
天候

事故概要

休日となっていた事業所において、午前中、電気に係わる作業ではない作業に従事していた、設備管理請負会社社員である被災者は、過去の電気工事作業で不要ケーブルの未回収箇所が気になっていたため、知っていた鍵の保管場所から鍵を持ち出し、電気室内へ立ち入った。
なお、被災者は、午前中の作業が電気に係わる作業ではなかったため、電気工事用の作業服を着用していなかった。

着衣状況:
上着-化繊半袖、ズボン-混紡長ズボン、靴-上履き(静電気帯電防止靴)、その他-帽子(キャップ帽)、眼鏡、手袋(豚革)。
保護具:
安全靴未着用、絶縁手袋未着用、ヘルメット未着用。

被災者は、配電盤で不要ケーブルが接続されているブレーカーがOFFであることを確認し、ケーブルの取り外し作業を行っていたが、3本目のケーブルを取り除く際、左手に持っていたメガネレンチが滑り落ち、下にあった低圧動力盤ブレーカーの受電側端子に接触。ブレーカーの一次側のS相とT相端子で工具が数秒間アーク状態となり、アーク(火花)を受け、身体に広汎性第3度熱傷(火傷)を負った。
被災者は、着衣の焼損と火傷の応急処置の為、現場を離れ患部を流水で洗い、着替えてから現場に戻り、事故ブレーカー一次側のS相端子から外れていたケーブル先端部を絶縁テープにて絶縁処理した。
出社した交代勤務の従業員が、現場に煙がまん延していることに気づき、居合わせた事業所長に連絡後、電気主任技術者が事故連絡を受け現場に到着し、電気室前で被災者を発見し状況を聴取、系統への影響が出ていないことを確認した。その後、被災者は救急車で病院に搬送された。

事故原因

  • 電気室の管理が十分ではなかったため、被災者の無断入室を防げなかった。
  • 被災者が、作業安全の確保が不十分な状態での無許可作業を行った。

再発防止対策

  • 各受変電所と電気室の鍵は事務所内の鍵保管庫で保管し、持出履歴票にて管理する。
  • 各受変電所と電気室の施錠を確認後、退社する。

平成28年度四国管内電気事故発生件数

(平成28年8月31日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 1
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 0
他物損傷・機能被害事故 0
主要電気工作物破損事故 5
発電支障事故 2
供給支障事故 0
波及事故 4
ダム異常放流事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 0
12