電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう58保守不備(自然劣化)による波及事故

波及事故については、11月30日現在、平成27年度内で5件発生しています。
四国支部管内における過去5年間(H22〜H26年度)に発生した波及事故(計58件)の主な原因は、自然現象(雷)(26件)に次いで、自然劣化(15件)によるものが多くなっています。(※)
今回は、保守不全(自然劣化)による波及事故事例を紹介します。
※1件の事故が2以上の原因による場合があるため、原因件数の累計と事故件数の累計は異なります。

資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

波及事故

使用電圧 6.6kV
設置場所 農業用施設
事故点の電圧 6.6kV
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 7月
供給支障電力・時間 252kW
53分
事故発生の電気工作物 高圧区分開閉器
事故原因 保守不備(自然劣化)
経験年数・年齢 -
天候

事故概要

外部委託者が、年次点検終了後、電力会社へ連絡し、電力会社監視のもと、高圧区分開閉器の瞬時投入試験を実施した際には良好であったが、その後、外部委託者が、電力会社監視のもと、高圧区分開閉器を投入したところ、変電所の送電線がOC・DG動作によりトリップした。この時、高圧区分開閉器が手動開放不能となり、高圧区分開閉器が開放できず、波及事故となった。

事故原因

高圧区分開閉器(製造後約20年経過)が、休止期間中に落雷を受けたことで、絶縁ガス(SF6)が放出され、内部機器の絶縁状態が低下していたと推察される。また、電源側中相Oリングパッキンが痩せ、その部分から水分が浸入し、内部に結露が発生した事で、さらに絶縁を低下させていた。
瞬時投入の実施は、短時間であったため、外箱の変形には至らず、開閉器操作が可能であったが、その後の本投入時には、短絡による操作機構部の損傷により、開放操作が不能となり、波及事故に至った。

再発防止対策

  • 耐用年数を考慮した高圧機器の取り替えの実施。
  • 双眼鏡による確実な外観点検の実施。

高圧設備の各機器の更新推奨時期

(高圧受電設備の施設環境や、機器の使用状況によって更新時期が異なります。)

柱上気中開閉器(PAS) 屋外用:10年または負荷電流開閉回数200回
屋内用:15年または負荷電流開閉回数200回
GR付開閉器の制御装置:10年
高圧CVケーブル 15年((一社)日本電線工業会調べ)
高圧真空遮断器 20年または規定開閉回数
高圧気中負荷開閉器(LBS) 15年
変圧器 20年
高圧進相コンデンサ 15年
その他高圧機器 10〜20年

参考:(一社)日本電機工業会「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告(平成元年9月)

平成27年度四国管内電気事故発生件数

(平成27年11月30日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 2
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 1
主要電気工作物破損事故 9
供給支障事故 0
波及事故 5
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