電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう57公衆による感電死傷事故

四国支部管内における過去5年間(H22〜H26年度)に発生した感電死傷事故(計12件)の原因別発生件数において、最も多いのは、作業準備不良(4件)、作業方法不良(4件)、被害者の過失(4件)でした。ついで、電気工作物不良(3件)となっています。
今回は、保守不全(自然劣化)による波及事故事例を紹介します。
※1件の事故が2以上の原因による場合があるため、原因件数の累計と事故件数の累計は異なります。
今回は、8月に起きた感電による事故事例を紹介します。

資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

感電死傷事故

使用電圧 6.6kV
設置場所 娯楽業
事故点の電圧 6.6kV
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 8月
供給支障電力・時間 -
事故発生の電気工作物 高圧区分開閉器二次側電線
事故原因 感電・公衆(被害者の過失)
経験年数・年齢 -
天候

事故概要

被災者が、建物側壁に取り付けられている高圧区分開閉器の二次側付近で足場組立作業中、電線が支障になることから、屋側に設置されている高圧区分開閉器二次側の外相電線(T相)を右手で壁側に押した際、充電状態の電線に触れ、外相と中相(S相)のケーブルヘッド端子部で線間短絡を起こし、電撃とともにアークにより負傷した。
被災者は、ヘルメット、長そで・長ズボンの作業服、皮手袋、安全帯を着用し、足袋を履いていた。

事故原因

作業用足場組立会社に、外壁塗装のため作業用足場の組立を発注した時、作業用足場組立会社が、屋側に設置されている高圧区分開閉器の防護を実施すると思っていた。
また、作業実施について外部委託の主任技術者に連絡していなかった。
作業開始前に、ミーティングを行っていたものの、作業箇所の危険性について、作業員に十分な認識を持たせられていなかった。

再発防止対策

  • 電気設備の周辺で作業の計画がある時は、必ず、電気主任技術者に連絡し、助言・指導を仰ぐ。
  • 発注する際には、施工業者に感電等の注意喚起を行う。

高圧引き込み線の近くで作業する時には?

  • 主任技術者に必ず連絡しましょう。
  • 必ず防護の取り付けを依頼しましょう。
  • 高圧充電部の防護をすませた後も絶対に防護箇所には触らないように作業を行いましょう。
  • 必要に応じて監視人を配置し作業を行いましょう。
  • 危険箇所には注意標識(高圧危険等)を取り付けましょう。

工事責任者は、工事内容や危険箇所の再確認を行い、作業者全員に周知徹底し、注意喚起しましょう。

絶縁用保護具、絶縁用防具の分類

分類 作業具名 用途
絶縁用保護具 電気用ゴム手袋(低圧用と高圧用)、電気用保護帽、絶縁衣および電気用ゴム長靴等 電気設備の点検や修理の時、露出した充電部に近づいた時に起こる感電を防止するために、人体が着用するものを指す
絶縁用防具 絶縁シート、ゴム絶縁管、碍子(がいし)カバー、絶縁カバー等 活線作業や活線近接作業の時、作業環境近くにある接触のおそれがある充電部等に装着(覆い被す)するものを指す

※6ヶ月に1度の耐圧試験が必要です

平成27年度四国管内電気事故発生件数

(平成27年9月30日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 1
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 1
主要電気工作物破損事故 9
供給支障事故 0
波及事故 5
16