電気事故に学ぼう56保守不備(自然劣化)による波及事故
平成26年度は3月1日現在、波及事故が13件発生しています。過去5年間(H21〜H25年度)に発生した波及事故(計54件)の主な原因は、自然現象(雷)(23件)に次いで、自然劣化(13件)によるものが多くなっています。
今回は、設備機器の自然劣化による波及事故事例を紹介します。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
波及事故
使用電圧 | 6.6kV |
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設置場所 | 事務所ビル |
事故点の電圧 | 6.6kV |
主任技術者の選任形態 | 外部委託 |
事故発生月 | 8月 |
供給支障電力・時間 | 1,680kW 5時間54分 |
事故発生の電気工作物 | LBS |
事故原因 | 保守不備(自然劣化) |
経験年数・年齢 | - |
天候 | 雨 |
事故概要
台風による雨水浸入によりLBSの絶縁が低下し地絡。地絡保護継電器付高圧負荷開閉器が設置されていなかったため、波及事故となった。
キュービクル全体が老朽化(設置後40年程度経過)し、雨水が入りやすい状態になっていた。内部の設備も更新していなかったため老朽化が進展していた。
事故原因
台風の風雨がキュービクル軒下から浸入し、LBSの絶縁が低下し地絡した。
再発防止対策
- 地絡保護継電器付高圧負荷開閉器の設置、引込みケーブルとLBSの更新、キュービクル腐食部の補修
波及事故防止にとって重要なことは
高圧受電設備は、経年劣化で機能や性能が損なわれ、故障・不具合が波及事故につながることがあります。
適切な保守点検を確実にすることや適期に更新することが必要です。
また、事故が発生しても、配電線への波及事故に至らないように、区分開閉器にはGR(地絡継電装置)付き高圧電流負荷開閉器を取り付けましょう。
高圧設備の各機器の更新推奨時期
(高圧受電設備の施設環境や、機器の使用状況によって更新時期が異なります。)
柱上気中開閉器(PAS) | 屋外用:10年または負荷電流開閉回数200回 屋内用:15年または負荷電流開閉回数200回 GR付開閉器の制御装置:10年 |
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高圧CVケーブル | 15年((一社)日本電線工業会調べ) |
高圧真空遮断器 | 20年または規定開閉回数 |
高圧気中負荷開閉器(LBS) | 15年 |
変圧器 | 20年 |
高圧進相コンデンサ | 15年 |
その他高圧機器 | 10〜20年 |
参考:(一社)日本電機工業会「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告(平成元年9月)
自然災害対策は?
通気口・換気口・ドアの隙間・腐食破損箇所などから雨水や湿気が侵入し、地絡・短絡事故につながることがあります。
防噴流対策板や遮風板などを取り付けし、サビ補修もしましょう。
平成26年度四国管内電気事故発生件数
(平成27年3月1日現在)
事故種別 | 事故発生件数 |
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感電死傷事故 | 2 |
感電以外の死傷事故 | 0 |
電気火災事故 | 0 |
社会的に影響を及ぼした事故 | 0 |
主要電気工作物破損事故 | 11 |
供給支障事故 | 1 |
波及事故 | 13 |
計 | 27 |