電気事故に学ぼう48保守不備(自然劣化)による波及事故
平成25年度は3月18日現在波及事故が14件発生しています。今回は設備機器の自然劣化による波及事故事例を紹介します。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
波及事故
使用電圧 | 6.6kV |
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設置場所 | 販売店 |
事故点の電圧 | 6.6kV |
主任技術者の選任形態 | 外部委託 |
事故発生月 | H24年2月 |
供給支障電力・時間 | 3,117kW |
事故発生の電気工作物 | 高圧区分開閉器(ガス入り)(PGS) |
事故原因 | 保守不備(自然劣化) |
経験年数・年齢 | - |
天候 | 曇のち雪 |
事故概要
電力会社のFGS地絡継電器が動作し波及事故が発生した。電力会社にて事故点を探していたところ当該事業場のPGSが切れないことが分かり事故点と判明した。主任技術者においてPGSを切ろうとしたが操作ハンドルが動かず切れなかった。
事故発生電気工作物のPGSは直近の月次点検で特段の異常は無く、直近の年次点検においての連動試験、投入操作についても問題は見られなかった。絶縁抵抗についてもPGS~LBS1次側間で30MΩであった。
事故原因となったPGSは1999年製で設置後10年以上経過していた。(メーカー推奨更新時期は10年であった。)
供給支障電力3,117kW、供給支障時間2時間31分であった。
事故原因
経年により電源側C相ブッシング部のシールパッキンに劣化が生じ、PGSの気密が悪くなりガス漏れおよび水分の侵入が発生したと考えられる。侵入した水分によりPGS内部に結露が発生し、ケース上部から水滴が落ち高圧回路の可動コネクトを経由し絶縁リンク筒内部に水分が侵入した。侵入した水分により絶縁リンクの筒内部表面の絶縁抵抗が低下し、漏洩電流および部分放電が発生し、さらに絶縁抵抗が低下し、最終的に絶縁リンク部で地絡が発生したと考えられる。SOGが設置されていたが、PGS内部での地絡のため保護の範囲外であったので波及事故となった。
再発防止対策
- ガス開閉器(PGS)から気中開閉器(PAS)に取り替えを実施。
- メーカー更新推奨時期を過ぎたら計画的に更新を行っていく。
波及事故防止にとって重要なことは?
高圧受電設備は、長期間使用すると経年劣化により機能や性能が損なわれ、故障や不具合が起こり、波及事故につながることがあります。定められた周期・回数に基づく適切な保守点検を確実に行いましょう。
更新推奨時期に達した設備機器は、保守点検結果をもとに、計画的に更新しましょう。
高圧設備の各機器の更新推奨時期
(高圧受電設備の施設環境や、機器の使用状況によって更新時期が異なります。)
高圧気中負荷開閉器 | 10年 |
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高圧CVケーブル | 15年(日本電線工業会調べ) |
高圧真空遮断器 | 20年 |
高圧交流負荷開閉器 | 15年 |
変圧器 | 20年 |
高圧進相コンデンサ | 15年 |
その他高圧機器 | 15〜20年 |
参考:(一社)日本電機工業会「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(平成元年9月)
平成24年度四国管内電気事故発生件数
(平成25年3月18日現在)
事故種別 | 事故発生件数 |
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感電死傷事故 | 1 |
感電以外の死傷事故 | 0 |
電気火災事故 | 0 |
社会的に影響を及ぼした事故 | 0 |
主要電気工作物破損事故 | 17 |
供給支障事故 | 0 |
波及事故 | 14 |
計 | 32 |