電気事故に学ぼう47作業準備不良・作業方法不良・被害者の過失による感電負傷事故
作業者のヒューマンエラーを分析・確認し、事故ゼロをめざしましょう。
今回はH23年度に起きた感電負傷事故事例を紹介します。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
感電負傷事故
使用電圧 | 66kV |
---|---|
設置場所 | 工場 |
事故点の電圧 | 6.6kV |
主任技術者の選任形態 | 選任(自社) |
事故発生月 | H24年3月 |
供給支障電力・時間 | - |
事故発生の電気工作物 | キュービクル内 |
事故原因 | 感電・作業者(作業準備不良、作業方法不良、被害者の過失) |
経験年数・年齢 | 34才 |
天候 | 曇 |
事故概要
事故当日、設備増設に伴うケーブルの布設工事が行われていた。発注元請け業者とその下請け業者により2本の高圧ケーブルを屋外キュービクル内へ引き込む工事が行われた。
ケーブルの布設工事終了後、下請け業者の被災者Aと作業者Bの2名が現場に残り、翌日の作業準備のためキュービクル内へ引き込んだ高圧ケーブルの長さ調節およびケーブル端部のテーピング行っていた。1本目のテーピングを終え、作業者Bがキュービクルを離れた際に、2本目のテーピングを行うために被災者Aは靴を脱ぎキュービクル内へ入りテーピングを行った。この時、高圧充電部に左手の甲が接触し感電した。被災者Aはキュービクル内へ入る際、保護具の使用はしていなかった。また、既存設備は充電中であった。
被災者Aは治療などのため4日間入院した。
事故原因
- 活線状態の設備が近接しているにも関わらず、絶縁シートなどの絶縁防護具を使用した感電防止対策が取られていなかった。
(労働安全衛生規則第342条において高圧電路に接触し感電の恐れのある場合、または充電電路に対して頭上距離が30cm以内または躯側距離若しくは足下距離が60cm以内に接近することにより感電の恐れがある場合、充電電路に絶縁用防具を装着することが定められている。) - 作業者に対しての安全教育ができていなかった。
(保安教育の対象は工事、維持および運用に従事する者であり、本来保安教育を受けて工事作業を行うべきであった。) - 作業の手順書が作成されていなかった。
- 靴を脱ぎキュービクル内に入り作業した。
再発防止対策
- キュービクル内の作業については検電の実施と絶縁保護具を使用する。
- 安全教育の実施と作業手順書を作成し、手順書に基づいた作業を実施する。
- キュービクル内の作業は監視人をつけ、監視人のもと安全に作業ができるようにする。
キュービクル内作業では
検電による充電部の確認や充電電路に対しては、養生等絶縁防護具を使用した感電防止対策が必要です。
監視人の元、作業手順書に沿った作業で、ヒューマンエラー(危険予知不足、注意力低下等)を無くしましょう
絶縁用保護具、絶縁用防具の分類
分類 | 作業具名 | 用途 |
---|---|---|
絶縁用保護具 | 電気用ゴム手袋(低圧用と高圧用)、電気用保護帽、絶縁衣および電気用ゴム長靴等 | 電気設備の点検や修理の時、露出した充電部に近づいた時に起こる感電を防止するために、人体が着用するものを指す |
絶縁用防具 | 絶縁シート、ゴム絶縁管、碍子(がいし)カバー、絶縁カバー等 | 活線作業や活線近接作業の時、作業環境近くにある接触のおそれがある充電部等に装着(覆い被す)するものを指す |
※6ヶ月に1度の耐圧試験が必要です
平成24年度四国管内電気事故発生件数
(平成25年1月16日現在)
事故種別 | 事故発生件数 |
---|---|
感電死傷事故 | 0 |
感電以外の死傷事故 | 0 |
電気火災事故 | 0 |
社会的に影響を及ぼした事故 | 0 |
主要電気工作物破損事故 | 14 |
供給支障事故 | 0 |
波及事故 | 12 |
計 | 26 |