電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう43被害者の過失による感電以外の死傷事故

資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

感電以外の死傷事故

使用電圧 6.6kV
設置場所 工場
事故点の電圧 200V
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 9月
供給支障電力・時間 -
事故発生の電気工作物 ブレーカー上部動力幹線(銅バー)
事故原因 被害者の過失
経験年数・年齢 64才
天候

事故概要

点検時に発見された不具合(動力ブレーカーの負荷側(白相)端子ねじのつぶれ)のため動力ブレーカーの取り替えを依頼された被害者(工事業者)は、活線状態で取り替え作業を実施しようとした。負荷側端子を切り離した後、電源側端子を切り離そうとし不注意で電動ドライバーを銅バー(黒相)に接触させ単相短絡を起こし、発生したアークが左側の充電部に移り、三相短絡に発展しアークによって火傷を負った。事故時のアークによって被服が燃え、被害者は全身熱傷(胸部、両上肢、顔面、頸部熱傷)を負い約2カ月の入院を必要とした。被害者は工事に関して、主任技術者に相談をしておらず、単独にてブレーカーの取り替え工事に当たっていた。また、設置者も主任技術者へ当該作業の連絡をしていなかった。

事故原因

  1. 活線状態での単独作業
    使用電圧が200Vであること、また作業に慣れているという判断からか、停電作業ではなく、活線状態にてブレーカーの取り替え作業を実施した。この時、作業内容を主任技術者に相談せずに工事業者の判断で活線作業を実施すると決めた。また、設置者も主任技術者へ活線作業実施の旨を連絡していなかった。
  2. 必要な防護対策の未実施
    活線作業であるにもかかわらず感電防止のための機器への絶縁シートなどの絶縁防護具を使用していなかった。作業服、安全帽、作業靴、作業手袋は着用していたが、感電防止のための低圧ゴム手袋は未着用であった。

再発防止対策

  1. 自家用電気工作物に係る工事については、設置者は主任技術者に必ず相談し、工事業者の判断のみで作業を実施させないようにする。
    また、工事は主任技術者の立会のもと行い、できる限り停電状態で作業を実施し、事故の未然防止を図る。
    さらに、単独での作業を避け、万が一事故が発生しても対応できるような態勢をとる。
  2. やむをえず活線作業を行う時は低圧ゴム手袋、絶縁シートなどの絶縁防護具を使用し、感電の危険が無いようにする。

平成23年度四国管内電気事故発生件数

(平成23年12月26日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 4
感電以外の死傷事故 2
電気火災事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 0
主要電気工作物破損事故 12
供給支障事故 0
波及事故 10
28